給与振込み時の手数料負担はどちらに?

社員に給与や賞与を振り込む時の「振込手数料」は会社負担が義務なのでしょうか?それとも給与や賞与から差し引いてもよいのでしょうか?

労働基準法には「賃金支払いの5原則」というものが定められていますが、その中の一つが「全額払いの原則」。社会保険料や所得税、住民税など法令で定められている場合や労使協定が締結されている場合(社内預金、組合費など)を除いては賃金から控除してはならず、全額を支払わなければならないというものです。

また、「直接払いの原則」(賃金は直接労働者本人に支払わなければならない)と「通貨払いの原則」(賃金は通貨で支払わなければならない)の二つから、賃金は直接、現金で支払うのが原則であるということができます。ところで、「通貨払いの原則」には、「労働者が指定する金融機関の本人名義の預貯金口座等への振り込みでもよい」という例外規定もありますが、「労働者本人の同意を得た場合には」という条件付きとなっています。

労使協定で「賃金を振り込みで支払う際の振込手数料は控除する」と定めれば手数料を控除してもよいとの解釈も一部にあるようですが、労働者側が協定を結ぶかどうか甚だ疑問ですし、労働者が「手数料を差し引かれるのなら現金で下さい」と言われたら会社はそれに応じる義務があります。そうなると、実務上大変に手間やコストがかかってしまうことになります。給与・賞与の振込みは、会社側にメリットがあるからこそ普及している支払い方法です。

以上から、法律的にも実務的にも、振込手数料は会社が負担すべきものと考えるべきではないでしょうか?

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